経営者はベストセラーを狙わない。

出版をする際、「ベストセラー」を狙おうとする経営者がいます。

ですが、本業の利益アップなどの「経営効果」を目的とするなら、ベストセラー狙いはお勧めできません。

なぜでしょうか?

ベストセラーを狙うには、どうしても「マス(大衆)」を対象に出版しなければなりません。そうなると、どうしても文章内容の抽象度を上げる必要が出てきます。

例えば、税理士業を営んでいるとして、対象顧客が小さな会社だとします。この場合、手に取ってほしいのは、対象顧客企業の「社長さん」です。しかも、近隣商圏エリアが望ましいでしょう。

その場合、テーマは社長さんのための節税法や、決算書を読むコツ、資金調達ノウハウなどを書くことが考えられます。

しかしながら、このテーマに刺さり、かつ近隣商圏エリア対象の会社となると、どうしても母数が少なくなってしまいます。

すると、出版社としては採算が合わないので出版を見送るか、あるいは、テーマを変えたり、客層を会社員向けの「マス(大衆)」にするなどの提案をせざるをえません。

例えば、「サラリーマンでも10倍儲かるコツ」「会社員が片手間で月100万円儲ける方法」など。マスが安易に飛びつきそうな内容を書かせたくなるのです。テーマも会社員向け「仕事テクニック」や「勉強法」など、一般的に対象が広そうなものになることもあります。

これは出版社が営利企業である以上、致し方のないことです。出版業界の暗黙のルールで、高価格戦略が取りづらいので、どうしても「客数増」を考慮しなければ経営が成り立たないのです。ベストセラーを前提とした施策は出版社のいわば通例となっています。

ですが、経営者ならズバリ「本業の業績アップ」を目的とした出版を果たすべきです。ベストセラーになれば、確かにチヤホヤされるかもしれません。先生と呼ばれて気持ちいいかもしれません。飲み屋に行けばモテるかもしれません。

でも、「本業の業績アップにはなんら役に立たない」としたら、それでいいのでしょうか?

出版する場合、決して少なくはない時間を割く必要があります。精神的な負担もあるでしょう。場合によっては費用もかかるでしょう。その間、本業を疎かにしてしまう可能性もあります。にもかかわらず、「経営効果をまったく見込めない」としたら、経営者としての資質を疑わざるを得ません。

経営者として、会社の発展を目指したいなら、ベストセラー作家といった気持ちいい幻想を抱くのでなく、本業の業績アップに貢献するための出版を目指すことをお勧めします。

では、本業の顧客層に狙いを定めた、いわゆる「経営効果を狙った出版」をするにはどうしたらいいのでしょうか?

これについては別機会で述べたいと思います。

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